WOOL FELT

半立体羊毛、れいちゃん完成

あや

制作終わってだいぶ経つんですが、羊毛半立体オーダー第二弾はサモエドのれいちゃんです。

まずはベース。


お耳と顔のベース、グラスアイを作成します。
れいちゃんはお目目がパッチリな女の子なので、グラスアイを10mmで作成しました。それを見本のお写真の上に乗せてみたんですが、「あれ……なんか違う」
なんとなく違和感があったので、写真をドアップにしてよーーーーーーーく観察。
すると写真からわずかに分かる黒目のふちが10mmのサイズと微妙に合ってないんですね。
あー、アイラインがくっきりなお嬢さんなんだ!となり、グラスアイを8mmで作成しなおしました。

10mmサイズの目を8mmにしたら目が小さくなるんじゃないのか?と思いがちですが実はそうではなく。例えば黒目が大きくても瞼で黒目を隠す範囲が多いと目の周りが重い雰囲気になるのでなんとなく眠そうな印象の目になります。おっとりさんのタヌキ顔タイプの子だとこういう作り方ももちろんありなんですが、今回のれいちゃんはキリっとした美人さんタイプ。

なので、10mmだと顔周りキリっとしてるのに目元だけ重い印象になってしまい、台無しに。8mmにして黒目にかかる瞼をすっきりとさせ、くっきりアイラインを入れてあげる方がよりれいちゃんに近づきます。

今回はれいちゃんの毛を使いたいというご要望があったので、ママさんに洗い方をお伝えして、洗毛後の毛を送っていただきました。
これが!もう真っ白で柔らかい!れいちゃん大人サモなのにアンダーの毛とかパピーちゃんみたいに真っ白ふわふわなんですよ~。これ、洗ったから綺麗なんでしょとかそういう話ではないんです。もともと白くて綺麗なんです。犬毛を洗ってもらうといっても、経年劣化を防ぐために毛についた油分や表面の汚れを落とすのが目的なので、ゴシゴシ洗うわけではないんです。なので染みついた汚れはなかなか綺麗にはなりません。この白さは普段のれいちゃんの白さというわけです。

あまりにも柔らかく綺麗だったので、カーディングしたらさらに空気を含んでふわふわ、光を反射してキラッキラ。
量も多めに送っていただいたし、これは体だけに使うのはもったいないなぁということで、今回は顔周りにも犬毛を使うことに。
通常、大人の毛は硬め(あくまでも羊毛フェルト用に使うには硬めということ)なので顔周りには使いません。その子の毛がダメとか質が悪いとかそういうことでは決してなく、顔は表情を作るので少しでも硬い毛が混ざると毛の流れが均一に同じ方向向いてくれなかったりしてそれだけで表情の微妙なカーブが出しにくくなるんです。
なので、どなた様にも初めに「基本的には体にしか使えません」とお伝えしてご了承頂いております。

せっせと植毛して、立体感が出るようにざっくりカットして仮のイメージ用に作ってある鼻と舌を乗せて確認。

なんとなくできてきてるかもと思えたら、そろそろ鼻と舌を樹脂粘土で作ります。

できた鼻と舌を乗せながら顔を作りこんでいきます。まだザクザクとハサミやニードルを使うので、鼻も舌も傷がついたらえらいこっちゃなのでくっつけません。
ようやくサモエドっぽくはなってきたものの、目が全然似てない。
これは全然れいちゃんじゃない。

「この子は目が印象的なんだよな、そこを似せなかったら台無しなんだよな」ということで更に目を修正してようやく確認して頂ける段階まで到達。

このままだとボサボサなので毛流れを整えて、カット。
同じ写真が続いているようだけど一応、微妙に変わっていってます。

ママさんからOKをいただけたので、ひげを付けて、いよいよ額に収めていきます。
背景はれいちゃんのイメージカラーがピンクということで桜色のフェルト。
この額に入れる作業というのが地味に毎回ドキドキするんですよね。鼻がアクリル板に当たるんじゃないかと。もし当たったら顔面削らないといけないからこれがまぁ結構大がかりなやり直しになるんですよ。

Samoyed半立体
斜め


一応厚みを考えながら作ってはいるけど、ほんの数ミリ調整しただけで「え!こんなちょっと直しただけでぶつかる!?」ってこともあるので。じゃあカバーのない額で半立体作ればいいじゃんかって話なんですけど私はそれがどうもできない。
というのも羊毛作品ってほこりをかぶってもそれを払おうとちょっと強くこすろうもんならフェルト化しやすいですし、羊毛はウール、つまり厚手のコートとかでもわかるように例えば家で焼き肉だのお好み焼きだのちょっと匂いのしやすいご飯を作れば匂いだって染みつきやすい。服ならクリーニングに出せばいいけど、羊毛フェルトはそうはいかない。オーダーして下さった方は大事な我が子を作りたいと頼んで下さってるわけですから、私はできる限りただ飾っておくだけでも綺麗な状態が維持できるなものを提供したいんですよね。なのでこの額がなくなったらもう半立体はやらん(笑)

Samoyed半立体
下アングル

と、話は逸れましたが厚みもクリアして、無事に額に収まることを確認。お名前のプレートもがっちりとつけて

最後の仕上げにおひげをつけて、アクリル板に静電気防止のコーティングをして、れいちゃんを収めてようやく完成~。

無事ママさんの元へ届いたんですが、その後とーーーーーっても嬉しいツーショットお写真をインスタのDMから送っていただきました♡

喜んでいただけて、こうしてお写真送っていただいてこの瞬間が何よりも嬉しい瞬間です。製作中「あーーー似ねぇ!キーーーーっ!」って発狂してもすべてが報われる瞬間。あまりにも嬉しかったので、ちょいとママさんにワガママ言って「解像度の高いやつをメールからも送ってほしいです」とお願いした図々しい女(笑)
このお写真は私の宝物です(ホクホク)

でも、やっぱり実物の方が可愛いねーーー(*´艸`)
オーダーは前のモニターに続いてこれで2回目ですが、実際にやってみると学ぶことっていうか気づきみたいなものが毎回あります。
今回もれいちゃんママさんとのやりとりの中で「あ、じゃあこれからはこうしてみようかな」と新たな発見もあり、本当に貴重な時間でございました。
この度は素敵なご縁をいただきありがとうございました。

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ABOUT ME
あや
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ライター兼デザイナー
B型 女 インドア派
基本的にだらけているけれど好きなことへの行動力だけ鬼のように早い。
コロナの自粛期間に絵を描き始め、思いのほか好評だったので、ペットイラストのオーダーを不定期に開催しております。
ド近眼のくせに目を酷使することばかりが好きで、常に何か制作系のことをしていないと落ち着かない。
最近はブルーライトカットメガネとノイズキャンセリングヘッドホンが必需品。
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