胃捻転になった話②
前回に続き、胃捻転の術後の話。
手術翌日、朝イチで病院へ。
経過についての説明で呼ばれるまで、面会ができたので入院部屋に通していただき、ハリーと対面。
エリカラと点滴をつけてケージの中でワンワンと元気な声で吠えていました。
ぐったりとしてなかっただけで少し安心したものの、お顔はさすがに疲れが見えました。
順番が来て、先生の説明を聞いたのですが、あと数分遅かったらダメだったかもしれない、と告げられ絶句。
ハリーの場合、発症してかなり早めには病院に行ったんです。それでもあと数分遅かったら、と。
胃捻転でも2時間くらいなら十分間に合う子もいるし、半日経っても大丈夫な子も稀にいるんだそうで。
結局のとこ、胃のねじれ具合だったり、ガスの排出量で胃が膨らむスピードとかそういったものが発症時のその子の状態でも多少変わるみたいです。もちろん、半日経っても大丈夫なパターンだとしてもすぐ病院に連れて行くに越したことはないんですけどね。
ハリーの場合、術前に胃のガス抜きをしてからの手術でしたが、開腹して胃のねじれを元に戻したら血色の悪くなっていた胃がきれいなピンクに戻っていったそうですが、同時にまたふわーっと胃が膨らみだしたそうです。胃の中の食べ物からガスが出つづけていたからなんですが、この再度の膨張でまた胃の血色が悪くなり、胃の洗浄で胃の内容物をすべて出したら、また胃の色がピンクに戻ったそうです。
胃のねじれを戻し、胃の洗浄をして、その後胃と周りの臓器の確認をします。
胃が膨らんで周りの臓器が過度に圧迫されたり、胃のねじれで血流が滞ったことで、臓器が壊死することがあるからです。
脾臓が破裂していたり、胃の一部が壊死したりしていたら、その部分を切除することになるんですが、その処置があると更に危険度が増すのだそうで。術後や術中の死亡率が上がるらしいです。
幸い、ハリーの胃はひっくり返して診ても、壊死らしきものはなかったそうなので、そのまま胃を固定して再度捻転することがないように処置をしてからお腹を閉じたんですが、ここでもし小さな壊死があったのを見落としていた場合、お腹の中で壊死が進行していくので2週間以内には確実に様子がおかしいことになるそうです(とんでもない恐怖宣告)。
そして、胃のねじれで一時的に滞っていた血流や体液なんかが一気に体をまた巡り始めるので、この時に血栓があったり、不整脈が出たり、電解質に異常があると無事手術が終わっていようが急変しやすいそうで、術後2日間は特に注意が必要とのこと。
ということでハリーさん3日間の入院になりました。
私はこの時、術後の急変も胃の壊死の見落としてもなければ2週間後には安心できるんだなと思ってました。
ところが、そうは問屋が卸さないときた。
胃の固定をしたので、よっぽどのことがなければ、もう胃捻転になる可能性は低いものの、胃拡張(胃の中でガスが発生して異常に膨らむ)が起きない可能性はゼロではないとのこと。そして胃拡張をおこした場合、膨らみすぎた胃によって、固定していたところが外れれば再度胃捻転を起こす、ということでした。胃の固定が外れないにしても、そもそも胃拡張自体も胃捻転と同じく命にかかわることなんですよね。
胃にガス発生させないようにするって具体的に何をどうすりゃいいん……ってなるじゃないですか。
先生に聞いても、食事回数を増やして一度に食べる量を減らすとか、食後安静にしてるというよくある話でしてね。
この件以来、ハリーのことに関しては過敏になりすぎる私の心配スイッチはONになったまま戻らなくなりました。
だって、食後の安静はずっと守ってきたことなので、食事回数増やすしか手がないの?っていう。心もとないにもほどがある。
話を聞いてからというもの、私はずっとガスのことしか考えられなくなり、スマホの検索履歴はガスのことばかり。この世界中で誰よりもガスのことを考えてんじゃないの、ってくらいハリーの入院中も退院後も調べまくる日が続きました。
そして、胃拡張や胃捻転について調べていても、どのサイトも「このサイトのコピペちゃうん!?」ってキレたくなるほど同じことしか書いてないんですよ。『胃拡張って~胃捻転って~こういう風になって~めっちゃ危険で~死亡率高くて~早く病院行きましょうね~』って。はっ倒すぞ、とスマホに向かって何度悪態をついたかわからない。予防法も大体事前に知っていたことしか書いていない。ご飯の回数増やすとか、食後の安静とか、水のがぶ飲み禁止とか。「それはもう分かったってェェェェェ!!(発狂)」と何度キレたかわからない。だんだんと鬼と化していき、家族が近寄らなくなりました。
と、そんな悶々とした状態で必死で調べ倒した胃拡張予防についてできることは次の記事で。
話は戻って術後、退院した話。
入院中、急変の連絡が入るんじゃないかとスマホがなるたびにビビり倒していたのですが、急変もなく無事退院となりました。
術後は点滴してたので絶食だったものの、2日目からご飯が出されたのにほぼ食べなかったと聞き、驚く家族一同。
食欲の権化のハリーが食べない……ただ事じゃねぇ……。大体、病院でご飯食べててくれれば、ガスがまた出てそうかとか聞けたのに、食べないから情報ゼロときた。
おしっこはしたけど、うんちは一度もなかったそうで、3日間大きい方の排泄なし。
入院中は物音がするだけですぐに起きてしまっていたのでほとんどしっかり寝ていない模様。
家帰ってから不安しかない件。
そして帰宅して最初の夕飯。上っ面舐めただけであまり食べず(泣)
疲れ果てているはずなのに夜も何度も目を覚まし、私にへばりつき、撫でるのをやめるとピィピィ泣いた。
撫でつづけすぎて死にかけた右手の努力もむなしく、翌朝のごはんも食べず(大泣)
とにかくやたらと引っ付いてきて、私が立ち上がるだけでまた置いていかれると思うのかおびえるような顔をして、ヨタヨタしながらついてくる。3日間の入院でメンタルが完全に崩壊したらしい。
終始そばにいて、撫でて、ご飯も食べられる量を少しずつ、食べられたら大げさに褒めて、ひたすら甘やかしまくりました。
そうしているうちにいつもの量とは程遠いけど、徐々にご飯も完食するようになりました。
しかし、食べたら食べたで安心かというとそうもいかず、肝心のうんちが退院後、6日経っても出ず。
頭をよぎるのは「胃拡張」の3文字。
食べたものが出ない=腸に残っているということ。少ない量とはいえしっかり食べるようになってきていて、この後もどんどん食事をしていくのに出ないって溜まる一方じゃん、胃の中のものが腸がいっぱいで流れていかなかったらまたガス出るんじゃないの!?と恐怖しかない。
水はせっせと飲むからおしっこはやたらと出るのに、肝心のもんが出ない。ハリーの前では平静を装いつつ、内心ではそう
パニックである。
ネットで調べても、普通は術後3日くらいで出るとか書いてあるんですよね。何それ、6日出ないって異常!?病院に電話したけど、様子見てくださいとしか言われず。様子て。そんなもんはもう穴が開くほど凝視して見とるわい!と内心でブチギレる短気。
オリーブオイルを付けた綿棒で肛門を軽く刺激するといいとか、大腸のあたりをマッサージするといいとか、大腸と胃を活発にするツボを押すといいとか、アドバイスされたものをすべて試すも、どうやっても出る気配すらないので、諦めて気分転換に近所をものすごくゆっくりと散歩したら、思いがけないタイミングで出ました。一体どれが効いたのかわからない(笑)あまりに出てなかったから真っ黒なの出て、一瞬ビビったけど、もう出ただけで歓喜。拍手喝采。道行く人に見せたいくらいの喜び(大迷惑)
術後6日の夕方にようやくだったので、ネットの情報マジであてにならんなと思いました。怖いことばっかりでビビらされただけだった。
と、そんな感じで、少しずつご飯もいつもの量を食べられるようになり、散歩も元気に行き、夜もだんだん眠れる時間が増えていきました。
体は抜糸もして確実に回復へと向かっているのが分かりましたが、メンタルはそういうわけにもいかず、一人ぼっちで入院したトラウマがなかなか抜けないのかあれから1カ月以上経っても未だに夜思い出して過剰にくっついてきたり、元々の甘えん坊がさらに悪化して甘え王となってしまってますが、これについては時間をかけていくしかないなぁと思っています。手はかかるけど、私自身「もう生きててくれたら何でもいいよ」となってます。長々と書きましたが、術後までの話は以上です。