胃捻転・胃拡張予防ー行動編ー
胃捻転の原因について思うこと
胃捻転になって、無事生還したものの、胃拡張になったら危険ということで、胃拡張・胃捻転を予防すべく狂ったように調べまくる日々が始まりました。
おさらい
- 胃拡張:胃の中にガスなどが溜まり胃が大きく膨れ上がる。膨らんだ胃が周りの臓器を圧迫して血流を妨げる。最悪壊死を起こすこともある。
- 胃捻転:胃が捻じれて入口と出口がふさがれた状態になること。血液や体液の循環障害が起きたり、ショック症状を起こす。
胃拡張を起こす→膨らんだ胃が捻じれる、の流れ。胃拡張・胃捻転(GDV)ってのが一般的らしいですが、友人の話だと、運動性の胃捻転という先に胃が捻じれるパターンもあるそうです。胃拡張からの胃捻転じゃないからガスが少なめの場合もあるんだとか。もちろん、胃が捻じれているのでこちらも危険性は高いです。ただ、運動性のものだと体型的要因のが大きい気がします(注:個人の見解です)
いずれにしても。
まず色々調べても結果としてどこでも言っているのは明確な原因はわからんということ。
とはいえ、アメリカの獣医のブログや動物病院が載せてる論文とか読み漁ってふと思ったんだけど、原因不明っていうより発症する原因が膨大にあって、ありとあらゆるパターンで発症するから「これさえ守っとけばいいよ」ってのがないから明確な原因がないってことなんじゃないのかしらと思ったり(注:個人の見解です)
胸が深くてウエストがきゅっと細い犬種はその体型ゆえに起こりやすいってのもあるし、同じ血統で一親等に発症した子がいるとなりやすいってのは遺伝的なものもあるんだろうし(胃の形がねじれやすい形だったり角度だったりを受け継いでる可能性とか)、これらの場合はもう生まれながらの体型や体質だから対処しようがないじゃんってなるわけで、そういう場合は発症することを想定して予防しとこうと『予防的胃固定術』っていう腹腔鏡でできる胃の固定手術をする人もいるらしいですね。去勢・避妊手術のついでにやってもらうこともあるんだとか。
個体によっては胃を固定することで胃の動きが多少悪くなる場合もあるらしいですが、胃捻転で死ぬよりマシととるか、その辺は飼い主さんの判断になりますね。
そして、なりやすい体型どうこうじゃなくて、年齢的なものになってくると話は違う気がします。
シニアになって胃を支える靭帯が伸びてくると胃捻転のリスクが上がっていく、つまり年を重ねるごとにリスクが上がるという場合。
こんなんどうしようもなくないか、という。自分の子がどのくらい胃の靭帯が伸びてきちゃったかなんてわかりませんものね。
そしてシニアになれば消化器も衰えてくるわけで、前は消化できていた食事で消化不良を起こしていたり、前は大好物だったおやつやご飯のトッピングが実は胃の負担になっていたり。明確に下痢や便秘や嘔吐があれば分かりやすいんでしょうが、そうではない軽い消化不良が地味に続いているような場合は気づきにくいんですよね。排泄も特に問題なくて。
人間でいうとこの「ちょい食べ過ぎて胃もたれかな、でも普通にご飯は食べようと思えば食べられるけどね」みたいな。
すると、胃で消化したものが通常なら小腸や大腸へと送られていくはずなのに、思いのほか長いこと胃で停滞しちゃって、結果的に胃内でガスが大量発生するっていう。これがげっぷとして出ておさまる程度ならまだいいんでしょうが、胃拡張まで進むと最悪胃捻転にまでいくと。
こういうケースは大型犬に限らず小型犬でも多いそうなので、体型的要因で発症する胃捻転とはまた違ってどの子でもなりうるんですよね。小型犬のシニアさんで胃拡張がくせみたいになって何度も夜間の救急にお世話になっている子のブログも見ましたが、発症しているのは食後が多い印象でした。
ただ、胃拡張の原因は呑気(どんき:飲み込んだ空気)で、胃の中でガスは出ないって書いてるところもあるんです。GDVになった犬の胃の中にある気体を分析したら、 飲み込みすぎた空気がげっぷにならなかったり、腸に移動してないことが原因だと分かったからって。ですがそれに対して反論している獣医師も数名いて、私はそちらの意見に賛成する派です。というのもハリーは術前に胃のガスを抜いてから、全身麻酔で開腹手術になったわけです。そこで胃のねじれを戻した後に再拡張し始めたこと、胃の内容物を胃洗浄で除去したら再拡張は起きなかったという実体験があるからです。
あと胃捻転になりやすい子の特徴で神経質や臆病、繊細なタイプはなりやすいとあったんですが、結局こういう性格って何かストレスや環境の変化があると胃にきやすいからなんじゃないかしらっていう。心因性で胃が痛くなることもあるし、胃の動きが鈍って消化不良になりやすいんじゃないかなって。要はこの手のタイプの胃拡張って消化不良が大敵なんじゃないかと(注:個人の見解です)
うちのハリーは食に対する欲がすごいんです。
食べようと思えば延々食べてるんじゃないかしらこの子ってくらい食べるのが大好き(もちろん欲しがるだけあげまくることはしませんけど)。
元々童顔なのもあるかもだけど、飼い主の欲目なのか老いた感じというか変わった感じがしなくて。食欲は常にあるし、サモエドなのにアホのように暑い夏も食欲落ちないし、散歩も大好きだし、元気でいいことだわなんて思っていたけど。
私は今回の胃拡張からの胃捻転、ハリーの場合は、消化不良と胃の靭帯の伸びからくるもので起きたんだろうなと思っています。
そう考えると思い当たることもあるんです。それはこのときのこれ!ってことじゃなくてもう日常のこと。
しっかり食べるから、ご飯はいつも通りだったこと。
若く見えようが、元気があろうが、食欲があろうが、それでもシニア。
外見が若く見えても、内臓まで若いわけではないということを決して忘れちゃいけないと今は自分に言い聞かせています。
可愛いから、欲しがるから、とついつい食べさせすぎないこと。
胃拡張・胃捻転予防のために実践したこと
(以下、当たり前じゃんってことも含みます。)
食事の回数を2回→3回に変更
トータルで食べる量も若い頃よりは少し減らし、それを3回に分けての食事に変更。
一度に食べる量が多いと、胃が重たくなって胃の靭帯が伸びている時間が長くなることもあるので、一度に消化する量が少ない方が胃への負担が少なくなります。
食事時間の変更
以前は朝は8時、夜は7時だった食事時間を朝の6時、昼の12時、夕方の5時半に変更。
なぜこの時間にしたかというと、ハリーの場合、食後から割と早い段階で発症したからです。
そして最大の懸念は、田舎なので動物の夜間救急病院が近くにないんです。
この時間なら、万が一胃拡張が起きても、病院の普通診療の時間ぎりぎりに駆け込めるからです。
実は胃捻転の予防について調べていたときに、とてもイラっとしたことがあるんです。
それが『夜間に診てもらえる病院の候補を普段から調べておく』ということ。そりゃ調べてそういう病院が近くにごまんとある地域に住んでる人はいいですよ。ないんだもん。ないなら診てもらえる時間帯を狙った食事にするしかない。環境的な要因でそうしてます。
朝の6時って病院やってないじゃんって話なんですけど、最後の夕飯からの時間がかなり空くので、朝ごはん食べる頃には胃もさすがに空だろうからリスクは低いかなと。
ちなみに近くに夜間救急病院があったとしても、行ってみたら「他の子の対応におわれているのでうちでは無理です」と断られたという話も多々あるそうなので、複数の候補を準備しておくと良いようです。
普段からお腹の胃の周りを触って、通常時のお腹の張り具合、空腹時の張り具合の感覚を手に叩き込む
誰がどう見ても爆発しそうに膨らんでいる状態はさておき、ちょっとお腹張ってるかなっていうのが、まぁ分かりづらい(笑) 毛の多い子は特に分かりづらいです。
普通に立っているときは重力で胃が下がるので、胃の辺りが張ってるような感覚に勘違いしやすいです。
軽く手のひら全体で圧迫したときに筋肉が押し返してくる力みたいなのが、若干いつもより強いかなって場合はちょっと消化不良気味かな?ちょっとガス溜まり気味かな?と私は判断しています。もちろん食後すぐは食べ物が入っているから張るので、食前に確認するようにしています。
ちなみに胃捻転を発症して明らかに膨らんでいたときは、ボールに空気をパンパンに入れたときのような感じなので触ると押し返してくる力が強かったです。
そして、退院から2週間くらいはやや張ってる感じが強かった気がします。
- 胃が固定されたことに体がまだ慣れていない
- 入院中の精神的ストレスが尾を引いている(トラウマ)
- 胃拡張予防のために食事時間や回数を変更して長年の生活リズムが変わったこと
そういったもので一時的に消化機能が衰えていたこともあったのかもしれません。精神的に落ち着いてきて、生活リズムに慣れてきたら胃の張りがなくなってきました。
お腹がギュルギュル鳴りまくっていたら警戒する
胃捻転になる前の話ですが夏場の暑い時期、ハリーのお腹がギュルギュル鳴っていることが何度かありました。大体夜中の寝ているときです。ただの消化の音ならいいんですが、胃腸炎や消化不良を起こしていても鳴ることがよくあります。普段そんなに聞かないのに今日はやたら気になるな?というときは胃や腸にガスが溜まっていないか確認する指針になります。
ゲップの回数、匂いに気を付ける
胃拡張が癖になっている子の場合はよくあるそうですが、ゲップの回数が増えます。
食後や飲水後のげっぷは自然現象なので問題ないですが、普段と比べてやたらゲップをしているなぁというときは、ガスが溜まっている可能性があります。
そしてゲップをしたときに、基本は無臭か食後であれば食べたフードの匂いがするのですが、これがメタン臭い(要はおならやウンチのような匂い)の場合、かなり注意が必要です。食糞したのであれば話は別ですが、そうじゃない場合、胃の中でタチの悪い消化不良(ガスが大発生しやすい)を起こしている可能性が高いです。それ以外にもアンモニア臭いとか魚が腐ったような匂いのゲップは別の病気が隠されている可能性もあるので、ゲップの匂いには普段から気を付けておくといいかと思います。
歯茎や口の中に炎症がないか確認する
これは歯槽膿漏とか歯周病が酷い子の場合は分かりにくい話なので飛ばしてください。
うちの場合、ハリーは歯磨きのとき人間の子供がしてもらうスタイルのように仰向けに寝かせて磨くので、その時に口の中もよく見るのですが、不思議なもので、お腹が緩かったり、いつもよりウンチの出が悪かったり、消化不良気味のときは歯の境目あたりの歯茎が赤く炎症しているような感じになります。歯肉炎?と思われがちですが、歯を毎日しっかり磨いていて普段はそうでないこと、お腹の調子が戻ると赤い炎症が消えることから、胃の調子と関連してるんじゃないかと勝手に思ってます。
大腸のガス溜まりや便秘に気を付ける
消化不良を起こさないためにも排泄はとにかく大事。これは大声で言いたい。臓器に負担がかからないように食べたものをしっかり出す、便秘許すまじ。
出てるから平気というのではなく、いつもより排泄回数や量が少ないような?と思ったとき、へそ天してるのを狙ってよく大腸の辺りを全体的に手のひらで優しく圧迫します。
便が残っている辺りってポコポコっとしてるんですよね。やや硬い感触もある。何もない所は柔らかでフラットな感触。
上から下に向かって円を描くように手のひら全体で腸の感触を確認しつつ、ちょっと硬い感触があるところだけ少し圧をあげて下に向かって押していきます。ガス溜まりでポコッと硬い場合には、手のひらを下におろしていくと、すーっとおならが出る子が多いそうです。便の場合は軽く押してるくらいじゃ出ないけども、腸のマッサージになるので後々出やすくなります。
分かりやすい海外の方の動画があったのだけど削除されてたので同じ方の別Ver.の方を貼っておきます。
英語が分からない方は字幕を自動翻訳に切り替えてご覧ください。
予防のためにと買い足したアイテムは次回の記事で~。