愛おしい怒り
やってしまった。
朝起きたら9時半だった。久しぶりの大寝坊。
昨夜頭がうすら痛くて、こりゃ夜眠れなかったら朝起きる頃には悪化してるなと思ったので、眠剤飲んで寝たらこのザマだ。
「あの、お腹すいたんですけど……」って顔してハリーが枕元に座ってた。座ってないで起こしてくれりゃいいのに、と身勝手なことを思いつつも完全に私が悪いので慌ててご飯を作って
「ごめんね、ハリー。寝坊しちゃったよお腹すいちゃったよね。ごめんね」
誠心誠意謝りましたところ
「いいよ、大丈夫だよ」
と顔を舐めてくれて許してくれて、「あぁ私もこんな風に素直に許せたらいいな」と思ったそんな朝の出来事。
基本的にハリーはいつも優しい。
攻撃的な小型犬に出会っても、自分から吠え返したり仕掛けたりは絶対にしない。
私が羊毛をやっていて針で手を刺して「イタッ」と言うと、そんなに大きな声を出したわけでもないのに飛び起きて「痛いの?大丈夫?」と心配してくれる。「大丈夫だよ、ありがとう」と応えるとホッとしたように寝床に戻る。
仕事で疲れて「ハァー」とため息をついたときもそう。足元で寝ていても必ず起きて膝に顔を乗せて大丈夫かと伺ってくる。これが不思議なものでただの深呼吸のため息や、わざと落ち込んでいるように装ってため息をついても、起きないし心配もしてこない。
私が本当に疲れたり落ち込んだりしていると、そばに居て心配して寄り添ってくれる。
彼の愛情の深さに、私は幾度となく救われている。
けれどそんな優しいハリーも怒ることがある。
長時間の留守番。
スーパーに買い物に行く程度のちょっとしたお留守番なら平気だけれど、数ヶ月に1、2回。病院や遠出する用事があると6時間近く留守番になることがある。
そうすると帰宅した時には怒りMAXになっている。
「寂しかったの?ごめんね」
と何度謝っても顔を背けて無視をする。
目も合わせてくれない。「僕をこんなにずっと一人ぼっちにして」と完全に拗ねている。
近くによると避けて離れていく。取りつくしまがない。
こんな姿を見ると、真面目に怒っているハリーには悪いけれど可笑しくて笑ってしまいそうになる。笑うと余計に怒るので堪えているけれど、ギューっと抱きしめたくなる衝動にかられる。
「じゃあもういいよ、ハリーはもう怒ってるから私のこと嫌いなんだね。許してくれないみたいだからもう今日から別々に寝ようね。ベタベタもしないようにするね」
と話すと「え!?いや、ちょっ、ちょ、待てよ!」となる。
慌てて近寄ってきて「も、もう怒ってないし!」とアピールしてくる。
ハリーの怒りは長く続かない。後腐れもない。犬だから単純だから、とそう言われればそれまでだけど、私はその犬の姿勢に敗北感を感じてしまう。
この子のように許せたらいいのに、と思う。
いつまでも根に持たず、ごめんね、いいよができるってすごく難しいことだと思う。
大人になればなるほど頑なになり、うまくできなくなった。
ハリーが教えてくれることやもたらしてくれることは本当にたくさんで、私がこの子にしてあげられていることなんて多分ずっと少ない微々たるものなんだろうなと思う。
寝坊なんてしてる場合じゃないね。
わんこってこんなにも感情豊かなんだね!
読んでるだけで、愛しさが伝わってきて、私も幸せな気持ちになりました(*^^*)
根に持たないって難しいよね……。
私もハリー君を見習おう!
今夜は痛みもなくよく眠れますように。
ねー、私も飼うまではここまで感情豊かな生き物だと思わなかったよ。人間みたいに怒ったり悲しんだり喜んだりヤキモチ妬いたり、何でも全力で感情を表すからハッとさせられることがよくあるよ。
ホントに根に持たないって難しいよね。私もなかなかあの境地にはいけないわ。
お互いに体調のイイ1日でいられますように(*´人`)